代表取締役社長執行役員
清田 淳也
2026年7月1日付で社長執行役員を拝命し、同年9月29日開催の定時株主総会ならびに取締役会の決議により代表取締役に就任しました清田淳也です。株主の皆様には、経営の舵取りにあたりご指導、ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
1989年に当社へ入社した私は、研究開発部門を中心に経験を重ね、近年は先進技術研究所長、開発本部長、コンポーネント事業本部長などを務めてまいりました。過去9年間にわたり経営トップとして当社グループの発展に尽力してきた岩下前会長の後を引き継ぎ、さらなる企業価値・社会価値の拡大と持続的成長の実現に向けて、全力で取り組んでまいります。
生成AIの拡大を背景に過去最高の受注高を確保した一方、利益面は一過性要因により減益となりました。
中長期経営計画「バリューアッププラン」を策定、始動した2026年6月期は、生成AIの急速な普及を背景とする半導体関連市場の拡大を受け、受注高・売上高を伸ばしましたが、利益面は一過性費用の計上などにより前期を下回りました。
受注高は、半導体製造装置及びディスプレイ製造装置、レアアース関連ビジネスを含む一般産業用装置が大きく増加し、過去 最高の3,242億円(前期比43.7%増)を確保しました。
売上高は、半導体及び電子部品製造装置が日本や中国のパワーデバイス投資の反動減を受けて減少したものの、有機EL基板の大型化に伴う設備投資や改造案件などによりディスプレイ製造装置が増加し、コンポーネントや一般産業用装置、材料も堅調に推移したことから、期初予想を上回る2,691億円(同7.1%増)となりました。
ただし利益については、EV関連費用(貸倒引当金や追加コストなど)の計上や半導体製造装置の一部大口案件における売上の期ずれといった一過性要因が生じたため、営業利益196億円(前期比26.1%減)、経常利益199億円(同30.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益171億円(同2.4%増)となりました。営業利益率は前期の10.6%から7.3%へ、ROEは自己資本の増加により7.5%から7.4%へそれぞれ低下しました。
計画を総点検した上で、必要な変革を断行し、今後の成長に向けた基盤整備を進めてまいります。
「バリューアッププラン」は、半導体・電子分野を中心とする事業ポートフォリオへの転換を加速すべく、計画2年目(2027年6月期)までに事業改革を完遂し、経営資源の最適化を推し進めるとともに、成長戦略と生産改革を通じてグループ全体の成長力・収益力を高めていく6年間の取り組みです。財務目標は、計画最終年度(2031 年6月期)における「売上高3,600億円(うち半導体・電子分野で60%以上=2,160億円以上)」「営業利益790億円(営業利益率22%)」「ROE16%」を掲げています。
一方、当社グループ事業を取り巻く環境は、「バリューアッププラン」を策定した2025年8月からさらに変化し続けており、特にAI・データセンター関連ビジネスが想定以上のスピードで拡大しています。今後は、同ビジネスにおいて、リソースを集中させ、実績を積み上げながら全方位で市場を捉え、戦略的に成長を実現していく考えです。
計画初年度の2026年6月期は、前述の通り受注高が過去最高となり、半導体製造装置に関しては、市場全体の成長ペースを大きく上回る成果を収めることができました。事業改革では、ディスプレイ製造装置に関する見直しや低採算事業の整理が進展しました。生産改革では、モジュラーデザインの推進により設計工数を20%削減 し、約10億円の変動費を圧縮するなど、具体的な効果が出始めています。
一方で2026年6月期は、当社グループの課題があらためて浮き彫りとなった1年でした。受注高は大幅に増加したものの、売上高及び利益の伸びは限定的なものにとどまりました。その主な要因は、部材供給リスクが顕在化したことと、製造リードタイムの短縮が道半ばであること、すなわち生産面の制約にあると考えています。獲得した受注を確実に売上・利益へ転換できなければ、「バリューアッププラン」が目指す成長力・収益力の向上は実現が困難となります。
以上の認識を踏まえ、2027年6月期は「バリューアッププラン」を総点検した上で、必要な変革を断行し、2028年6月期以降の成長に向けた基盤を早期に整えます。
成長戦略では、AI・データセンター市場を戦略テーマとして定義し、全方位的に成長機会として取り込むべく、当社グループが持つ強みを見極めながら、重点分野へ経営資源を集中投入します。そして先端・高付加価値案件の構成比を高めていくことで、高い成長性と収益性の両立を図ります。
事業改革では、2026年6月期に事業売却・縮小や生産拠点再構築などの取り組みを進めましたが、収益改善効果が限定的にとどまったことから、新経営体制のもとで改革をさらに加速する方針です。2027年6月期中に低採算事業の縮小・撤退を完遂させると同時に、本社機能・固定費構造・事業ポートフォリオを再点検します。
そして最重要課題である生産改革では、サプライヤー戦略を見直し、部材調達リードタイムの短縮を図りつつ、各拠点の物流倉庫を集約・自動化し、物流効率を高めます。また生産能力の拡充に向けて、半導体・電子関連の主要製造拠点である九州工場の増強投資を検討するとともに、レアアース関連については、茅ヶ崎工場での生産を開始する予定です。
事業改革の影響により減収となる一方、高利益率案件の構成比上昇により増益を見込んでいます。
2027年6月期の受注高は、事業改革の実行に伴う影響やディスプレイ製造装置の反動減を織り込み、大幅に増加した2026年6月期の実績に対し、減少を見込んでいます。その中でも半導体製造装置の受注は、高水準を継続する見通しです。
売上高についても、同様に事業改革の実行やディスプレイ製造装置の反動減が影響し、減収となる見通しですが、高利益率案件である半導体・レアアース関連の売上構成比が上昇し、事業ミックスの改善が進むと予想しています。
営業利益については、2026年6月期における減益の一過性要因が解消される中で、事業売却などによる利益の減少が生じるものの、上述の高利益率案件が増益に貢献する見通しです。
以上を前提として2027年6月期の連結業績は、受注高2,600億円(前期比19.8%減)、売上高2,550億円(同5.3%減)、営業利益280億円(同42.9%増)、経常利益280億円(同40.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益190億円(同11.2%増)を予想しています。
強固な基盤を築き上げ、AI・データセンター市場の成長を確実に取り込み、収益力を高めてまいります。
株主の皆様への利益還元につきましては「配当性向35%以上」を目途とする業績連動型配当を基本方針としています。 2026年6月期の期末配当は、減益の結果を踏まえつつ、株主還元重視の観点から1株当たり152円(前期比12円減)、配当性向43.8%とさせていただきました。2027年6月期の期末配当は、1株当たり152円、配当性向39.4%を予定しています。
私たち新経営陣は「バリューアッププラン」に対し、計画を確実に実行し、財務目標の達成に向けて強い覚悟を持って臨んでいます。2027年6月期は、事業改革と生産改革を徹底し、今後の成長を支える強固な基盤を築き上げます。そしてその盤石な基盤のもと、当社グループが持つ技術的優位性を最大限に発揮し、AI・データセンター市場の成長をしっかり取り込むことで、収益力を高めてまいります。
株主の皆様におかれましては、アルバックが目指す未来への飛躍にご期待いただき、引き続き長期的なご支援を賜りますようお願い申し上げます。
2026年9月









