株主・投資家の皆さまへ

代表取締役執行役員社長
岩下 節生

社長就任2年目を迎えて

 

グループの成長を実現する「仕組みと仕掛け」

 

 社長就任初年度は、「人財」を活かし、果敢に挑戦する企業文化を大切にし、真空技術を総合利用して産業や科学の発展に貢献するというアルバックのDNAを受け継ぎながら、グループ内のつながりを強め、社員の目線をグローバル志向に変えていく意識改革に取り組んできました。今期(2019年6月期)からは、「真空総合メーカー」としての新たな可能性を拓くべく、改革のスピードを上げていきます。

 技術革新の波とグローバルな競争環境による激しい変化の中で、私たちは生き残りをかけた改革を進めていかなくてはならないという危機感を持っています。当社グループの置かれている状況は、国内にいるとわかりづらいですが、私は海外拠点での経験を通じて、お客様と市場の急速な変化を目の当たりにしてきました。

 同時に、そうした外からの目線を通じて、自らが持つ強みやポテンシャルを再認識することが重要だと考えています。当社グループは、現在の主力であるFPD(フラットパネルディスプレイ)製造装置の他、半導体製造装置とその周辺市場の成長が見込まれる電子部品製造装置も手掛けており、技術革新の波の中で幅広い分野での成長ポテンシャルがあります。また、コンポーネントや材料、カスタマーサポートビジネスなど、安定収益につながる事業基盤を持っていることも強みです。

 私は、改革の加速を社員に促すとともに、グループ全体が同じ方向で成長を目指し、実現するための「仕組みと仕掛け」を作っていきます。その「仕組みと仕掛け」の中心は「人財」です。未来を担う人財の育成に注力し、持続的成長への基盤を確立していきます。

2018年6月期の振り返り

 

創業以来最高の売上高、3期連続で最高益更新 

 

 2018年6月期は、前期を上回る受注高を確保し、創業以来最高の売上高となりました。収益性も大きく改善し、各利益項目において3期連続で過去最高益を更新しました。

 受注・売上の状況を振り返ると、FPD・PV製造装置は、中国を中心に大型TV向けLCD(液晶)やスマートフォン向けOLED(有機EL)への高水準な投資が続き、これを背景に堅調に推移しました。一方、半導体・電子部品製造装置は、旺盛なサーバー需要を受け、NANDやDRAM 、次世代不揮発性メモリ等向けの製造装置が大きく伸長しました。またコンポーネントや材料、一般産業用装置も好調に推移しました。利益面は、半導体・電子部品製造装置の拡大が牽引するとともに、その利益率の高さが大幅増益に寄与しました。

 結果として2018年6月期の連結業績は、受注高2,430億円(前期比3.2%増)、売上高2,493億円(同7.5%増)、営業利益354億円(同20.0%増)、経常利益369億円(同24.2%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、繰延税金資産や株式売却益の計上の影響等もあり359億円(同46.7%増)となりました。営業利益率は前期の12.7%から14.2%に上昇し、自己資本比率は40.2%から49.5%へ大幅に改善しています。

中期経営計画目標の変更

 

目標を上方修正、5年後への「成長戦略」を発表

 

 3ヵ年中期経営計画(2018年6月期〜2020年6月期)は、最終年度の連結業績における「売上高2,500億円」「営業利益350億円」を目標に掲げていました。しかし、すでに初年度において売上高が目標値に迫り、営業利益は過達となったことから、計画数値を見直し「売上高2,650億円」「営業利益380億円」に上方修正しました。「事業成長の推進」および「価値創造力の向上」を重点戦略とする計画骨子に変更はなく、半導体・電子部品製造装置を中心にさらなる伸びを確保し、新たな目標を達成してまいります。

  なお、計画期間中の研究開発投資(研究開発用設備投資+研究開発費)については、半導体・電子部品製造装置をアグレッシブに拡大するために、ロジックや次世代不揮発性メモリなどへの開発を強化し、並行して将来の成長につながる開発も積極的に行っていきます。

 また、中期経営計画の見直しと同時に、次の飛躍に向けた「成長戦略」で、5年後の2023年6月期連結業績における「売上高3,000億円」「営業利益率16%」を目指します。

 

今期の見通しと成長戦略

 

中期経営計画にもとづく成長戦略を着実に遂行

 

 当社グループは、中期経営計画にもとづく成長戦略のポイントとして、以下のテーマに注力していきます。

 半導体製造装置については、メモリ需要の拡大とともに、当社グループにとって新領域であるロジックの需要を積極的に取り込み、これを両輪とする成長を目指します。電子部品製造装置では、5G通信の普及により進展していくスマート化社会への流れを取り込むため、お客様との共同開発を進めつつ、フレキシブルなエンジニアリング力を発揮していきます。FPD製造装置は、引き続き市場の長期継続投資に対応し、大型TV向けのシェアを堅持しながら、OLEDの需要拡大を見据え、受注につなげていきます。コンポーネントや材料、カスタマーサポートは、装置と共にトータルソリューションとして提供できる強みを活かし、安定収益基盤としてさらなる成長を目指していきます。

 そして、これらの需要増加を牽引する中国市場において、現地グループ会社15社・1,757名(2018年6月末時点)の従業員とサプライチェーンによる生産体制の強みを活かし、適地開発機能やサービス拠点機能を発揮することで、さらなる成長を遂げていきます。

 以上を前提として、2019年6月期の連結業績は、売上高2,550億円(当期比2.3%増)、営業利益365億円(同3.3%増)、経常利益375億円(同1.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益255億円(同29.0%減)を予想しています。

 

【成長戦略】

① 半導体事業はメモリとロジックの両輪で成長
② 電子機器事業は5G で加速する技術革新をビジネスチャンスに成長
③ FPD・PV 事業は大型TV・OLED 投資を中心に長期的継続投資に対応
④ コンポーネント・マテリアル・カスタマーサポート事業の成長(安定基盤)
⑤ 中国市場における成長

株主の皆様にお伝えしたいこと

 

社会に必要とされる企業として存続するために

 

 株主の皆様への配当金については、財務基盤の状況や各年度の連結業績および配当性向等を総合的に勘案し、実施する方針としています。当期の期末配当は、好調な業績を反映し1株当たり95円(前期比45円増配)とさせていただきました。2019年6月期の期末配当は、さらに10円増配となる同105円を予定しています。引き続き成長投資や財務基盤強化に必要な内部留保を勘案しつつ、株主の皆様のご支援に報いてまいります。

 当社グループは、冒頭に述べました通り、未来を担う人財の育成に注力し、より強固な経営基盤の確立につなげていきます。次世代経営層を養成し、グローバル人財を強化するための教育研修や海外出向、社外交流を活発化させながら、同時に「ワクワク・イキイキ」とした職場づくりに向けて、働き方改革や女性活躍および健康経営を推進し、社員一人ひとりが能力を最大限に発揮できる環境をさらに進展させていきます。

 近年、SDGs(国連の持続可能な開発目標)やESG(環境・社会・ガバナンス)など、持続可能な社会の発展を目指した取り組みが世界レベルで展開されています。民間企業においてもその対応が求められ、事業活動を通じた社会課題の解決を経営テーマに掲げ、積極的に取り組む動きが拡がってきました。

 アルバックとしても、今まで以上に企業としての社会的責任を認識し、持続可能な社会の実現に貢献していきます。ステークホルダーの皆様との共創を通じ、グループ一丸となって社会課題の解決に取り組んでいきます。中長期的な視点を持ってサステナビリティを重視した経営を推進し、グループとしてのマテリアリティ(重要課題)をより一層明確にしていきたいと考えています。

 私たちが提供する製品・サービスは、省エネルギー化や新興国の発展にも貢献しています。これからも「真空技術の総合利用」による価値創造を拡げながら、社会に必要とされる企業として存続し、ステークホルダーの皆様とともに発展してまいります。

 株主の皆様におかれましては、これからも長期的なご支援を賜りますようお願い申し上げます。